京都でインテリア撮影の前日、たまたまぽっと時間が空いたので、鴨川沿いを一人で散歩しました。風があまりにも気持ちよく、どれくらい歩いたでしょうか、もう辺りが暗くなり始めた頃、リッツカールトンが見えてきました。
ちょっと中に入って泡を一杯だけ。
エントランスへの渡り廊下を歩いている頃には、日が沈み始めました。まるで平安時代にタイムスリップしたよう。リッツカールトン京都は「源氏物語」のような世界観。隅々までコンセプトが行きわたっていてこの世界観が作られ、ゲストはまるで物語の登場人物になった気分になれます。このホテルの人気が高い理由はここにあるのですね。
エレベーターホールの前には、菅原健彦さんの桜の木の絵が。一昨年3月に行われたアートフェアで桜の絵に出会い、一目で虜になりました。迫力のあるアートは、まるでお部屋に命を与えてくれる役目のようです。
1階のテラスに座って、私自身と乾杯。明日の撮影がどうかうまくいきますようにという願いを込めて。
夕方の鴨川の涼やかな風の中、空の紺色は深みを増し、同時にホテルの明かりはしっとりと華やぎます。すべてが入れ替わるこのはざまの時間。
一人旅は、一人きりではなくて私自身との語らい。こうしてあらゆるものが心に深く沁み入ってきて、感性が膨らんでいきます。